隣にいる彼を見ていることに気づかれないように、そっと見る。
高校生の頃よりも、ぐんと大人っぽくなった彼は、スーツ姿もよく似合っていた。
もし今もまだ付き合っていたら、変わらずにポケットの中で私の手を温めてくれていた……?
「仕事、何やってるの?」
「営業。今も取引先回りして会社に帰るところ」
「そうなんだ」
「地元にいるのに、今まで一度も会わなかったなんて不思議だよな」
「ふふふ。そうだね」
「お前、どこで降りるの?」
「え、と…。終点近くまで」
本当はとっくに通り過ぎてしまった私が降りるべきの駅。
だから、どこで降りても一緒だったりもする。
「アナタは?」
「あと5つ後」
「そっか……」
「……」
5つ後の駅に着いてしまったら、もうこの再会は終わりを迎える。
そう思ったら、何も言えなくなってしまった私に、彼も何も言わなくなった。
そして、数分の沈黙の後、彼が口を開いた。
「……もし運命なら」
「え?」
「もし結ばれる運命なら、また再会できる日がくる……って言ったの覚えてる?」
彼の言葉に驚きを隠せない私は、ただただ首を縦に振ることしかできなかった。
「覚えていたんだな」
「うん」
「じゃあ、この再会はお前はどう思う?」
『結ばれる運命だから再会したんだよ』……って、10代の私だったら笑って答えれてたと思う。
でも、答えることができなかった。
「別れたあの日、俺がそうやって言ったらバカにしただろ?でもあながち間違ってないんだぜ。あの頃、俺が言ったあの言葉。やっぱり結ばれる運命の相手だったら、何年会ってなくても再会するんだよ」
イマイチ理解できなくて難しい顔している私に、彼は携帯を取り出してある写真を見せてくれた。
「婚約者」
少し照れたようにはにかむ彼には、携帯の中にいた彼女を愛おしそうに見つめた。
私とは全然違うタイプの女性。
まさしく「大和撫子」のような印象を抱かせるような女性だった。
はじめに
再会切符は、所謂小説ブログです。自作の小説を掲載しています。
ご興味をお持ちいただける方は是非読み進めてみてください。
目次
再会切符 -5-
Written By: admin
-
12月•
26•11
